前回からの続きです。

ひょんなことから、
アイドルになった柴田珠実さん。

はじめは積極的になれなかったが
新しく結成されたユニットの初舞台で
彼女の負けん気に火がつく。

でも彼女には事情があって・・・?
 




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アイドルなのに、スペインへ?

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―みんなに内緒にしてたこと
って?



柴田珠実さん(以下た):
実は、
秋からスペインに留学に行く
ことが決まってたんです。



―え・・・。そうだったんだ。

折角、エンジンがかかった
ところだったのに?



た:はい。新しいユニットで
これから頑張っていこう!
という時期だったので、

みんなにはとても
言えませんでした。
 
出発の3日前まで
言えなかった
んです。



―3日前!?



た:はい・・・。



―それで、結局?



た:(スペインに)行きました。

メンバーのみんなは
私の事情も汲み取ってくれて
やさしく送り出してくれましたけど、

正直、胸の中は複雑だったと
思います。



―それはそうだよね。でも、
珠実ちゃん自身も辛かったでしょ。



た:それは、自業自得なんで。

ただ、
ファンの方々や
メンバーのみんなには
本当に申し訳なくて。

行く直前まで、
大学中退するか迷いました。



―大学中退は、さすがに
親が許してくれないよね。



た:そうですね。
親はもともと私のアイドル活動には
反対でしたし。

行かないと大学に
いられなくなってしまうので
泣く泣く行きましたが、

留学に行くのは本当に嫌でした。



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実は、留学は二度目。一度目は・・・

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―ひとりでスペインに行くとか、
寂しくなかった?



た:実は、留学は二度目だったので、
DIOのことを除けば、留学自体は
それほど問題じゃなかったですね。



―そうなんだ。
高校の時とかにも留学してたの?



た:はい。高校2年生から
卒業するまでの1年半ほど、

オーストラリアに行ってました。



―へえー。
オーストラリアと言えば、シドニー?



た:いえ、
エアーズロックの近くです。



―ふぇっ!?



た:アボリジニアートの勉強
に(笑)
 
途中からタスマニア
移りましたが。



―タ、タスマニア? 
どうしてそうなった?

(というか、どっから
突っ込んだらいいんだろう・・・) 



中学に入ってからは、
シンクロをやめたことを
ちょっと後悔して、

自分が好きなことは何だろう?
って考えた結果、
絵を描くことが好きだったので
美術の勉強を始めたんです。

それで、留学に行ったんですね。



―相変らずガチだね。
てか、自己分析する中学生
って、凄いね・・・。

エアーズロックの近くに、
ひとりで行ったの?
日本人、全然いないでしょ。
ホームシックにならなかった?



た:なりましたね。
基本的なことが話せないから、
最初は友達も全然できないし。

親に話すのも情けなくて、
はじめはずっとひとりで泣いてました(笑)

ノートにやり場のない
気持ちを書きなぐって、

ストレス解消したりして。

留学といっても、
カリキュラムとかもないんですよ。

アボリジニアートも、

クラスにいる
アボリジニ(原住民)の子に頼んで、
家にお邪魔したりして、
自分で勉強していくしかないんです。

おうちにお邪魔した時は、
芋虫もおいしく
いただきました。



―!!
(↑どうでもいい情報だけど、虫は苦手)



た:まあ、最終的には
すごい楽しかったんですけど、
最初は大変でしたね(笑)



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Dioで出会えた本当の仲間

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―そこで乗り越えた経験
があったから、
留学自体は慣れてたんだね。



た:はい。ただ、2回目は、
本当は留学なんかよりも、
とにかくDIOの活動を
続けたかったです。



―留学するってことで、
DIOは一回、辞めたの?



た:それが、みんなは 
留学に行った私を
DIOのメンバーで
いさせてくれたんです。

みんなからしたら、私って
普通は裏切り者じゃないですか

それなのに、
形の上だけじゃなくて、
 
「DIOでこんなことがあったよ」
と連絡くれたりとか、

「今度こんな企画あるんだけど、
どう思う?」とか、

聞いてくれたりして。



―それは嬉しいねぇ。



た:留学前は、
ダンスの特訓だけじゃなくて

最初はライブのお客さんも5人
とかの時もあって、

一緒にチラシ配りもしましたし、
そんなふうに苦労をともにして、

みんなとは、2ヶ月ほどだったけど、
とっても濃い時間を過ごせたことが、
良かったのかもしれません。


小学校のシンクロの時はもちろん、
中高も女子校でしたし、

それまでも比較的女の子だけの
集団にいることが多かったのですが、

私にとっては、はじめて築けた
強い信頼関係でした。



―ブロードバンドの売り子の
アルバイトの面接に行ったはずが、
ひょんなことからアイドルになっちゃった
って感じだったけど、

そのお蔭で、
本当の仲間に出会えたんだね。



た:ひとりいない状態になったDIOは
新曲を出すこともできず
 
それまでの持ち歌のまま
頑張ってくれて、

それでも、こんな私を仲間として
大切にし続けてくれました。

私もせめて何かしたくて、
 
スペインでは、サルサダンスとか、
役に立ちそうなことをやって、
帰国の時に備えました。



―みんな、待っててくれたんだね。



た:はい。10ヶ月後、
みんなは本当に、帰国した私を
受けいれてくれました。



―DIOの仲間は、最高の宝物だね。
 
今の目標は?


た:メジャーデビューですね。
私が留学に行ってしまってたせい
もあって、
 
もう、そんなに時間がありません。

今年中に
メジャーデビューを果たしたい
と思います!



現在のDIO
(写真提供:ご本人)


 ★ ★ ★

(編集後記)

肝心なところで
スペインに留学せざるをえなかった
アイドル、柴田珠実さん、

仲間はそれでも彼女を
見捨てなかったどころか、

彼女の留学中も
変わらず仲間として
大切にしてくれたという。

今度は、自分が応える番だ――

必勝の信念で
仲間とおんなじ夢に向かう、
彼女の瞳はまっすぐで、強い。